特許(第6600829号)を取得した指紋センサーモジュール

本発明は、指紋認証の精度向上と信号の安定性を実現する指紋センサーモジュールに関する技術です。従来の単結晶シリコン基板上に形成された静電容量式指紋センサーでは、センサー電極の表面を誘電体膜で覆い、指先の電位を基準として指紋の凹凸に応じた静電容量の変化を検知していました。しかし、単結晶シリコン基板は、指先を強く押し付けると破損するリスクがあり、指紋検知領域のサイズで形成すると高価になるという課題がありました。

これに対して、ガラス基板上に指紋センサーを形成する技術が提案されており、単結晶シリコン基板の課題を一部解決することが可能です。しかしながら、ガラス基板を用いた構成では、センサー電極と信号処理部間の伝送路が長くなるため、電源や駆動信号に起因する高調波成分が人の指を介して伝搬し、センサー信号に重畳する問題が残されていました。本発明は、この課題に鑑み、外乱高調波成分の重畳を抑制できる指紋センサモジュールを提供することを目的としています。

本発明の指紋センサモジュールは、指紋情報を取得するセンサ部、第1の基板、センサー部からのアナログ信号を受信し指紋情報データを生成する信号処理部を備えています。さらに、第1の基板と信号処理部を接続する配線部を有し、信号処理部および配線部を含む回路ブロックを搭載する第2の基板、そして指紋検知領域に対応した窓部を有するメタルリングを備えています。メタルリングは第2の基板上の回路ブロックの少なくとも一部を覆う構成となっており、これによりセンサー電極からの信号に外乱高調波が重畳するのを抑制できます。

また、回路ブロックには、指紋データの生成や認証処理を行う制御部、動作状態を報知する報知部、電源部を含む構成を備えられます。第2の基板上には第1の基板が配置され、電源部や信号処理部、報知部が第1の基板を挟んで配置されることで、信号の安定性が向上します。さらに、第2の基板の裏面には制御部にプログラムを書き込むデバック用コネクタが設けられ、端子部をシールドする脱着可能なシールド部材により、外来ノイズや不意の接触による誤作動を防止できます。

電源供給パターンも工夫されており、指紋検知領域が第2の基板上に投影される領域を避けるよう配線することで、検知精度の低下を防止しています。信号処理部からの駆動信号は増幅部を介してメタルリングに印加され、安定した駆動を実現します。窓部の指装着方向開口端部には段部が設けられ、水平方向の長さと段部の厚みの比率を1:1から3:1の範囲に設定することで、指装着時の精度や操作性を最適化しています。

さらに、必要に応じて第1の基板と第2の基板間に中継基板を設け、第1の基板と中継基板をワイヤボンディングで接続し、その上部をメタルリングで覆う構成も可能です。この構成により、信号伝送経路へのノイズ影響を低減し、高精度な指紋認証を実現できます。以上の構成により、本発明の指紋センサモジュールは、従来技術で問題となっていた外乱高調波成分の重畳を抑制し、高精度かつ信頼性の高い指紋認証を可能にしています。

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